バイオミミクリーは、開発者が「意図して」生物を模倣することである。
一方、Twitter の創設者の一人であるエヴァン・ウィリアム(Evan Williams)氏は、
ティム・オライリー氏の「Twitterとは、そもそも何なのか?」という質問に対して、
それはぼくにも分からないんだよね。サービスのデザインは最も難しいところ。
いろんな使い方ができるように柔軟にすることが大事。
カギは、サービスをシンプルにすることと、本来の目的と違う目的で利用ができる再利用性を高めること。
と語っている(
参照)。
ここで語られていることが事実であるとすると、
Twitter のそもそもの開発コンセプトは、私がここで提示した解釈とは直接的には関係ないことになる。
つまり、
「Twitter とは、脳をバイオミミクリー的に展開したコミュニケーション・システムである」
との解釈が成り立つとしても、それは結果としてそう言えるだけであり、
そもそもはバイオミミクリー的戦略性をもって開発されたものではない、ということである。
私が、先程「事後的」と言ったのは、そのような意味においてである。
しかし、重要なことは、今、現にある Twitter が、
脳を(たとえそれが、非常に単純化したモデルのレイヤーにおいてであったとしても)、
バイオミミクリー的に展開したコミュニケーション・システムであり得る
という現実である。
私には、そこに、Twitter がこれほどまでに世界的に普及拡大しつつあることの根源的なパワーが潜んでいるように思われる。
このような認識は、Web 開発という視点においては、
世界的に普及する Web アプリケーションを開発することの意味、
もしくは、Web アプリケーションのフロンティアが切り開いている地平を提示しているように思われる。
また、企業におけるIT活用という視点においては、
社外的には今や人類的コミュニケーションのインフラストラクチャー的存在となりつつある Twitter そのものの活用が、
社内的には Twitter 的なマイクロブログ・アプリケーションの活用が、
ナレッジ・マネジメント(知識共有・知識創造)に対して、すなわち、企業の進化や付加価値の創造に対して、
大きな効用をもたらすであろうことを示唆しているように思われる。
* :Twitter の始まりについては、Gigazine の 2012年03月22日付けの記事
「
Twitter はこのメモから6年前、すべてが始まった」に
Twitter の共同創設者の一人
Jack Dorsey 氏 による当時のメモの写真と共に解説があります。
Wikipedia にも
同様の解説 があり、それによると次のようにあります。
ジャック・ドーシーによると、ツイッターの基本構想は自身が2000年6月に思いついた。
LiveJournal よりもリアルタイム性が高く、どこにいても自分の状況を知人に知らせたり、
逆に知人の状況を把握できたりするサービスの可能性に気づいたという。
また、ここでのテーマとは直接的には関係はありませんが、
「Twitter」という名称については、
Twitter ブログ に「
Twitterという名前」というエントリーに解説があります。
※2012年06月29日追記
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
読者の皆様にとりまして、多少なりともお役に立つものとなりましたら幸いです。