■ コンセプト

第一義的には、『(機械ではなく)人間のユーザーに対して、福井県および県内17市町が提供しているオープンデータ への「網羅的・一元的・簡易的」アクセスを提供する』ことです。 それにより『各データへのアクセス性の向上』を図り、『各データの認知度・理解度の向上』を通じて、閲覧者の方にとっての『福井がわかる』の向上を目指しています。 機能的には、『Data Browser』という概念のもとで、元データである CSV データをウェブページに変換・表示する『CSV File Data Sharing System』として、データアクセスの「網羅性・一元性・簡易性」という価値を提供できれば、と考えています。

■ 特徴

(1)「網羅性」として、福井県が公開している全データセット大項目 118 個中 88 個をカバーしています(公開時点)。 (2)「一元性」として、対応している全データセットの各々に対して「1 データ(表中の1行)を 1 ページとする」ように統一的に処理し、同一形式で表示しています。 (3)「簡易性」として、(i) システム全体を Single Page Web Application 化して、ユーザーのクリックやタップに対する応答性を高めコンテンツ更新を迅速化・円滑化する、(ii) 名称等での並び替え機能や地域別での編集機能を提供し、ユーザーの関心とデータとのマッチングの可能性を高める、ようにしています。

■ 開発経緯

本来は別の企画意図のもとで、当ウェブアプリの基本機能である『Data Browser』部分を実装しました。 が、その状態になった時に、「それを見る人間にとってはよりデータを把握しやすい」と感じましたし、ならば「一元的に『 1 データを 1 ページで表示する』ことには、それはそれで意義がある」と考えました。 そこで、適応的に、一旦はこのような形としてまとめてみたわけです。「網羅性と一元性によりデータへのアクセス性やその価値・意義の把握性が向上する」「簡易性がそれを後押しする」との考えです。「オープンデータの利活用」の促進と「福井がわかる」の向上に貢献できますと幸いです。

■ システム概要

当ウェブアプリを展開するベースサイトを Drupal で開発・運用していることから、当アプリもベースサイト上の Drupal モジュールとして開発・運用しています。 具体的には、(1) 県市町の各オープンデータ・リポジトリからデータセットを取得し表示可能な状態へと構造化するモジュール、(2) 構造化したデータセット群からリクエストに応じて必要なデータを抽出・編集・表示するモジュール、(3) アプリ全体を Single Page Web Application 化するモジュールという、3 つのモジュールの連携により機能しています。 MVC モデル的には、(1) が「Model」、(2) が「Controller + 基本的 View」、(3) が「付加的 View」のような役割分担となっています。

■ 課題・対応

当ウェブアプリは、データアクセスの「網羅性」「一元性」「簡易性」を強みにしている一方で、 対ユーザーにおいては「各データセットの内容・性質に即した個別的な情報提供」「閲覧者視点での情報提供」という点には弱みがあるものと認識しています(公開時点)。 その両者は、表裏一体、多数の多種多様なデータセットを一元的・統一的に処理するという、強みの実現そのものである当アプリの性質に由来して弱みが生じているという関係にありますが、 「ふくいぺでぃあ」という名称の通り、より良く「福井についてのエンサイクロペディア」のように機能するためには、それらの改善・強化が課題であると考えています。 そこで、弱みの改善としては、(1) 位置情報の視覚化として、地図表示機能 を追加することにより、「場所」「ロケーション」というユーザーの関心・視点に対応しています。 また、特にデータ件数が多いデータセットについては当該データセットをよりわかりやすい単位で分割・表示する(例えば、年毎のデータセットを月毎・日毎に分割・表示する等)、 県が公開しているデータセットのうち住所地情報を含むものについては市町単位で抽出・表示できるようにする等、(2) 一部のデータセットについてはより閲覧者視点での情報提供となるように対応しています。 一方、強みの強化としては、開発履歴の通り、(3) 順次、対応データセットの範囲を拡充することにより、開発コンセプトの中核であるデータアクセスの「網羅性」の向上を図っており、 現在、県および独自公開している 8 市町が公開しているほぼ全ての CSV データ(当アプリの自動処理において、例外的な条件等により除外されてしまうデータセットを除く)に対応しています(2021年12月時点で、対応データセット約 1280 個、その内、地図対応データセット 216 個(備考(2)参照))。 さらに、(4) CSV データの保持・活用・処理方法を見直し、リクエストに対する処理(レスポンス)を大幅に高速化することにより、『各データへのアクセス性を高める』という当アプリの基本機能を強化しています。

■ 開発履歴(降順)

2021.12.28

データの保持・活用・処理方法の見直しにより、リクエストに対する処理(レスポンス)を大幅に高速化

2021.12.28

CSV データ表示のための URL を、意味的に整合するように変更

2021.12.28

鯖江市池田町 の独自公開オープンデータ(CSV)に対応(独自公開 8 市町全てに対応) ※備考 (2)

2016.08.21

6 市町の独自公開オープンデータ(CSV)におけるカテゴリに対応

2016.07.18

勝山市 の独自公開オープンデータ(CSV)に対応(独自公開 7 市町中 6 市町に対応) ※備考 (1)

2015.11.17

独自公開 6 市町中、福井市坂井市越前市敦賀市永平寺町 の独自公開オープンデータ(CSV)に対応

2015.11.17

福井県オープンデータライブラリ」における第二階層の CSV データに対応

2015.10.10

地図表示機能 を追加(それに伴い、Data Browser 部分の URL を変更)

2015.09.07

当ウェブアプリを公開(「福井県オープンデータライブラリ」における第一階層の CSV データに対応)

■ 備考(降順)

(2) 鯖江市の独自公開オープンデータへの対応について
鯖江市の独自公開オープンデータに対しては、(i) 当ウェブアプリにおける機械処理との相性面から、福井県オープンデータライブラリからリンクされているサイト ではなく、 池田町の独自公開オープンデータのリポジトリと同一のサイト を介して取得・対応しています(鯖江市と池田町の独自公開オープンデータへの対応が同時期になったのは、この理由のためです)。 また、(ii) 当該リポジトリにおけるデータセットのグルーピングは重複を認める方法(いわゆる「タグ」のような考え方)で行われていますが、 どのグループにも属さないデータセット数個については、当アプリにおける他のデータセットの表示方法との整合性を維持するために、便宜的に「 その他 」というグループを作成した上で、その中に分類・表示するようにしています。

(1) 勝山市の独自公開オープンデータへの対応について
直近の更新時点(2021月12月)では、 勝山市のオープンデータ公開ページ においては PDF データの公開に関する情報のみとなっており、 旧 URL(https://www.city.katsuyama.fukui.jp/soshiki/2/2804.html)においては存在していた CSV データの公開に関する情報は無くなっています。 しかしながら、当アプリで最初に対応した時点(2016年7月)で上記旧 URL において情報提供のあった CSV データは、現在も 同じサイト(linkdata.org) 上で公開が継続されており、 また、社会的に広くデータを公開・共有・活用することがオープンデータの趣旨でもあることから、 当アプリでは、それら 7 個のカテゴリ・ 10 個の CSV データについて、そのまま継続対応しています。

■ 謝辞

当ウェブアプリケーションで展開しているコンテンツは、上記のように、福井県および県内17市町が提供しているオープンデータ に基づいています。 また、コンテンツの一部として Google 社 が提供している地図情報サービス Goolge Maps を利用させていただいております。 さらに、システム全体を、オープンソースのコンテント・マネジメント・フレームワーク(Content Management Framework)である Drupal のモジュールとして開発・運用しています。 ここに、関係する組織・個人の方々の多大なご尽力・ご貢献に深く感謝申し上げます。