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DIARY :: AROUND THE CORNER :: 20110514001
先日、今回の大震災で被災地となった地域で救援活動をされた方々のお話を直接伺うことができました。
実際に現地で活動された方々の生のレポートは、
被災地や被災者の方々が遭遇された厳しい状況について、より現実感をもって迫ってくるものでした。
そこで色々と思うところはありましたが、今回は、「災害時におけるTwitterの有効活用」を念頭に、
「被災地とそれ以外の地域の間での情報の流通」という観点から考えてみたいと思います。
上記に関連する要素としては、伺ったレポートの中から、以下の3点を挙げたいと思います。
今回伺ったレポートは実際の救援を目的とした活動に付随する報告ということですので、
もちろん上記3点で関連事項の全てを網羅しているはずなどありません。
しかし、(3)のような問題状況を迅速に解決するためには、次のようなことは言えそうです。
公的機関を介するよりも、既に具体的な支援活動に動き出しているNGO等へ直接的に行う方が有効と考えられる。(*2)
(*8)asahi.com 2011年05月31日『不足品をネット購入、被災地へ直送 楽天・ヤフーで人気』
(*9)asahi.com 2011年06月07日『義援金、被災者へ届いたのは15% 2次も配分変更なし』
(*10)時事ドットコム 2011年06月17日『義援金1446億円を送付=第2次配分で15都道県に-日赤など』
支援が可能となる被災地以外の地点からは、被災者の方々が何を必要としているのかが見えにくい。
このような問題状況に対しては、「情報流通」という視点では、
その上で、できるだけ費用がかからない対策ということを念頭に、
そのような情報受発信が迅速かつ自律分散的に行われるようにするためには、
当然のごとく、今や世界的なコミュニケーションのインフラとなりつつある「Twitter の有効活用」ということに至ります。
そして、具体的打ち手としては、次のようになるでしょう。
(*7)Internet Watch 2011年05月30日『通信インフラの壊滅した避難所にインターネットを〜』
(*11)ITpro 2011年06月20日『特集:改めて知っておきたい、インターネットの災害対策』
予め災害時用のハッシュタグを用意・周知・参照可能にしておく
そのサイトにおいて、(ハッシュタグに基づいて)避難所単位での Tweet を集約・蓄積・閲覧可能にする
ハッシュタグについては、次のような3種類で対応できるように思います。(*6)(*12)
#jp_save_person 〜 安否確認
#jp_save_info 〜 被災地や避難所に関する現状を伝える情報など
上記では、市区町村用のハッシュタグは用意していませんが、
対策(3)が可能であれば、そのサイトにおいて市区町村単位での情報集約は可能になると思われます。
もちろん、ハッシュタグの命名方法については、ここで挙げた例よりも良い方法があり得ると思います。(*12)
というのは、他との重複を避けるために(A)以外のハッシュタグに「jp_save_」というプレフィックスを付けていますが、
それにより、ハッシュタグだけで多くの文字数を消費してしまうというデメリットが生じているからです。
また、(C)については、より簡潔な国際ルールのようなものを決めてしまうということもあるかもしれません。
加えて、運用ルールとして、次の2点を考えてみました。
これにより、原理的には、被災地以外の方は、各々が、
Twitter のサーチボックスに「#tokyo #jp_save_tokyo_0001 #jp_save_request」と入力することで、
避難所単位で必要とされている物資 を、リアルタイムかつ経時的に把握できることになります。
「#tokyo #jp_save_request」とすれば、当道府県単位で必要とされている物資 ということになります。(*4)
また、近年、マーケティングにおいて定性的情報の重要性が指摘されているように、
各人が、Tweet のような被災された方々の生の声(=定性的情報)に接することで、
そうした方々が置かれている環境をイメージしやすくなり、現地のニーズに対する想像力や創造力が働き、
共感を伴った、より有益な支援が実現される可能性が高くなると期待できます。
ここでは、都道府県単位での情報を知りたい場合のために、ハッシュタグ(A)を用意しましたが、
これは、対策(3)のような都道府県単位での災害用ポータルの設置が可能であれば、不要とすることも可能でしょう。
その場合には、ハッシュタグだけで多くの文字数を消費してしまうというデメリットを若干ながら緩和できます。
また、対策費用が問題となるということであれば、究極的には対策(1)と対策(3)は無くても実現できるため、(*5)
対策(2)のみの(おそらく非常に安価な)費用だけで済ませることも可能と思われます。
ただし、対策(3)の災害時用ポータルの「災害時における運用コスト」については、
当該サイトのページに(多くのアクセスが生じるため)、その被災地を応援する企業の広告を掲載するなどの仕組みにより、
ある程度補完することは可能であるように思われます。
ただし、国単位で公式のハッシュタグを用意することについては、
Twitter 社の了解も必要になるかもしれません(それに関しては費用が生じる可能性があります)。
今回の大震災において Twitter 情報は、
「オープンガバメントラボ、「災害時における Twitter 情報の活用について」公開」という記事にあるように、
有効なデータとして認められたようです。
ということも踏まえて、「Twitterの有効活用」を念頭に、
ただ一方で、ハッシュタグが有効に機能しなかったケースもあるとの指摘もありましたので、
ここまで考察してきたように、
その組み合わせにより、避難所単位での Tweet 情報の集約を可能にすることにより、
迅速でよりきめの細かい、有効な支援が可能となるようにする
今回は、「被災地以外から、被災地の方々が発信する Tweet を受信して、それに基づいて有効な支援を考える」という視点で考えています。
つまり、そこには、実際に被災された方々の視点というものが欠けており、そのため「ヌケ・モレ」があるかもしれません。
ただ、今回の大震災でお亡くなりになられた方々や被災された方々に報いるためには、その教訓を次に活かさなければなりません。
今後を考えるための切っ掛けにできればと考えています。
今回、余震等が続く中現地に赴かれ救援活動に従事された方々に敬意と感謝を申し上げたいと思います。
真摯なご活動とご報告、どうもありがとうございました。
また、最後になりましたが、被災をされた方々がいつの日かその困難を乗り越えられ、かつてのように、かつてを超えて、
優しさと慈しみ、元気と勇気、幸せと活力に満ちあふれた人生を創造していくことが出来るようになることを願っております。
*1:ただし、これは、今回レポートのあった避難所についてのことであり、
別の避難所ではまた異なった環境であった可能性はあります。
*2:この背景には、赤十字等へ集められた義援金の配分が、中々迅速に進まなかったという問題があります。
義援金をできるだけ迅速かつ有効に活用するという観点からは、
「都道府県単位や市町村単位で義援金の受付口座を設ける」ということは、それなりに有効な対応であるように思われます。
ただし、この対応については、私は把握しておりませんが、現状では法律面等での制約があるのかもしれません。
*3:「被災地以外の方が、被災地の方に対して有益な情報発信をしたい」という場合もあり得ますので、
別途、そのためのハッシュタグ=
「被災地の方々が、被災地以外から当該被災地に対して発せられた Tweet を取得するために用いるハッシュタグ」を
設けても良いかもしれません。
*4:このような検索は、対策(3)の災害時ポータルサイトにおいても可能とするようにします。
*5:対策(3)の都道府県単位での災害時用ポータルサイトの設置ができない場合には、
Tweet されたデータの保存ができなくなるため、
過去に遡って Tweet を把握するということが困難になるという、かなり大きなデメリットが生じてしまいます。
*6:一般のユーザーが Twitter のサーチボックスにキーワードを入力して検索を行う場合には、
現在は「部分一致」となっているため、例えば、「#jp_save_tokyo_0001」というハッシュタグがあれば、
「tokyo」というキーワードでもその Tweet が検索結果に含まれることになります。
一方、Twitter の API を利用した場合には(上記の議論においては、災害時用ポータルで Tweet の抽出を行う場合)、
「完全一致」である必要があるため(「Twitter API プログラミング」参照)、
都道府県単位での Tweet の抽出のためには「#tokyo」というハッシュタグが必要になります。
※2011年05月16日追記
*7:Internet Watch の2011年05月30日の記事
『通信インフラの壊滅した避難所にインターネットを|「震災復興インターネット」プロジェクト』
によると、村井純さん の周囲の方々を中心とする「震災復興インターネット」プロジェクトが、
震災の2週間後くらいから現地に入り、ボランティア的に、避難所にインターネット環境を構築する活動をされておられるようです。
※2011年06月01日追記
*8:asahi.com の2011年05月31日の記事
『不足品をネット購入、被災地へ直送 楽天・ヤフーで人気』
によると、楽天とヤフーは、それぞれ、支援希望者が、募金をするのではなく、必要とされている支援物資を購入することで、
それを自動的に(かつ迅速に)被災地に届けることができるようなサービスを提供しているようです。
支援希望者の、被災地や被災者の方々を支援したいという思いと血の通ったお金を有益な支援物資に換えて、
被災地や被災者の方々に迅速にお届けできるという点で、とても興味深いサービスだと思います。
・ヤフー「支援ギフト便」:Yahoo!ショッピング、被災地に支援物資を届ける「支援ギフト便」の提供を開始
・楽天「楽天たすけ愛」:必要とされている支援物資をみんなで購入し、各自治体を通して被災地にお届けします
※2011年06月01日追記
*9:asahi.com の2011年06月07日の記事
『義援金、被災者へ届いたのは15% 2次も配分変更なし』
によると、「総額2500億円の義援金のうち、被災者の手元に届いたのは15%」とのことです(6月6日時点)。
義援金の配分に関するこのような現状を見ると、
やはり、緊急対応的には、NGOや各自治体(市区町村レベル)に直接的に義援金をお送りする方が、
被災者の方々にとってより有益な支援が迅速に行われる可能性が高いものと考えられます。
また、このようにすることで、各自治体はより多くの義援金を集めるために外部への情報発信を強化することになるでしょう。
それは、被災地外にいる人が被災地の現状についてより多くの情報を入手できることに貢献し、
その結果、より有益な支援(多くの義援金や必要な物的・人的支援等)が行われる可能性を高めることになるものと考えられます。
そして、赤十字等に集まる義援金は、各自治体における義援金の過不足を調整するように(しかし、迅速に)配分すれば良いでしょう。
また、NGOや各自治体に関する情報を信頼あるものとするためにも、
当エントリーで言及したような、公的・準公的な「災害ポータル」を設置し、一覧できるようにしておくことが肝要です。
特にNGOに関する情報は、活動実態を踏まえて、随時サイトに情報をアップしていくような、柔軟な体制が求められます。
※2011年06月07日追記
*10:時事ドットコムの2011年06月17日の記事
『義援金1446億円を送付=第2次配分で15都道県に-日赤など』
によると、6月17日に、東日本大震災で国内外から寄せられた義援金の第2次配分として、
約1446億円を被災15都道県に送付した(第1次配分:約844億円、残り:約500億円)とのことです。
しかし、「今後各都道県が被災者への配分割合を決め、市町村を通じて届ける」とのことですので、
実際に被災者の方々が受け取るためには、もう少し時間がかかりそうです。
※2011年06月17日追記(元記事は2012年8月14日時点ではリンク切れとなっていました)
※2013年12月14日追記:義援金の受付・送付状況については、日本赤十字社『義援金受付・送金状況』にて報告されています。
*11:ITpro の2011年06月20日の記事
『特集:改めて知っておきたい、インターネットの災害対策』
では、東日本大震災で有効に機能し、人々の生活に欠かせないインフラとして認知されたインターネットについて、
それを支える各事業者への取材から災害対策の内実に迫る特集(全5回)が、以下のようなテーマで組まれています。
[1]情報流通の主役になったインターネット(2011/06/20公開)
[2]幹線ケーブルが不通になったISPも(2011/06/21公開)
[3]携帯メール遅配の意外な原因(2011/06/22公開)
[4]インターネット“神話”の検証(2011/06/23公開)
[5]消えない東京一極集中の問題(2011/06/24公開)
※2011年06月20日・21日・22日・23日・24日追記
*12:Twitter Blog 2011年07月13日エントリー
『本日から、ハッシュタグに日本語が使えるようになりました。』
上記リンク先の Twitter 社による発表のように、ハッシュタグに日本語を用いることができるようになりました。
これにより、一般的に、日本語を解する人にとっては、
(1)情報発信面・情報受信面での迅速性・正確性の向上
(2)ハッシュタグ検索によるマッチングの可能性の向上
が期待できます。
つまり、今回の Twitter 社による変更は、ここでの私案・試案の有効性を増加させる方向に作用することになります。
ということで、具体的に日本語ハッシュタグを用いるとすれば、例えば、次のようにできるでしょう。
#安否 〜 安否確認
#情報 〜 被災地や避難所に関する現状を伝える情報など
「ハッシュタグにより多くの文字数が消費されてしまう」というデメリットが低減されることとなり(=デメリットの低減)、
情報内容を伝えるための本文により多くの文字数を割り当てることができるようになります(=メリットの向上)。
一方、国内にいる外国人の方々などのうち日本語を解することが容易でない方々への対応については、
例えば、市区町村における外国人登録などの機会に、
英語・中国語・韓国語・ポルトガル語・スペイン語・フランス語・ドイツ語などで上記内容を記したパンフレットを配付するなど、
別途考慮する必要があるものと思われます。
*13:twitter blog (日本語での公式ブログ) に、2012年3月8日と3月9日付けで、
「3.11とこれから(前編)」「3.11とこれから(後編)」が公開されていました。
前編では「あの時に Twitter 上で何が起きていたのか」という視点で、震災当時の tweet の分析等を行っています。
後編では「これから Twitter には何ができるのか」という視点で、災害時に備えた Twitter 社の取り組みを紹介しています。
詳細は、上記リンク先の twitter blog のページをご覧いただきたいと思いますが、
当エントリーに特に関連した部分としては、後編においては、災害時に備えた Twitter 社の取り組みの1つとして、
「緊急時のハッシュタグの具体例とその周知」が挙げられていました。
災害時におけるアクセスの集中に対応することは非常に大変なことであろうと思われますが、
後編において挙げられているような Twitter 社の取り組みは、ユーザーにとっては心強いものとなるのではないでしょうか。
※2012年03月26日追記
*14:グーグルは、「Big Tent 2012:自然災害とIT活用に関する国際会議」と題して、
「災害時におけるソーシャルメディアの活用法」などについて国内外の有識者が話し合うイベントを、
7月2日に、宮城県仙台市で開催するようです。
(Internet Watch『災害時のウェブ活用について仙台で国際会議、Googleが7月2日開催』)。
このイベントは、上記のグーグルのページによると、
自然災害による被害と救援コストを軽減するために、各国の先進事例と成果を共有し、
今後の災害/防災におけるソーシャルメディアを始めとした IT 技術活用の可能性および乗り越えるべき課題を議論します。
基調講演、パネルディスカッション、技術デモンストレーションが行われるとのことです。
・「災害時のソーシャルメディア活用法」
・「IT を活用した被災地における支援の計画と管理」
・「安否情報へのアクセス」など
なお、演者は、次のような方々となっており、Twitter 社の日本代表の方も参加されるようです。
・マルガレータ・ワルストロム氏(国連事務総長特別代表)
・ウィル・ロジャース氏(国際赤十字・赤新月社同盟)
・近藤正晃ジェームス氏(Twitter 日本法人代表)
・サム・ジョンソン氏 (クライストチャーチ・スチューデント・アーミー創設者)など
※2012年06月15日追記
*15:Twitter 社は、9月25日(米国時間)より、「Twitter アラート」と呼ぶシステムを公開したと発表しました。
※参照:Twitterアラートに登録すると、非常時に緊急組織やNGOからプッシュ通知が送られてくる
Twitter Blog|Twitterアラートが始まりました
Twitter Blog|Twitter Alerts: Critical information when you need it most
Twitter Blog によると、このシステムは、非常時におけるコミュニケーションを目的として、
スマートフォン用アプリにてプッシュ通知で受り取ることができる
また、このシステムは、東日本大震災時におけるユーザーの Twitter 利用方法を Twitter 社自身が検討し(*13参照)開発した
「ライフラインアカウント検索」の機能と同じ考え方に基づき、それを世界的に展開するものとのことです。
※2013年12月14日追記
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